そのために調息・調心・調身によって自分の生命場の秩序性を高め、虚空の生命場に限りなく近づけようとしているのです。ですから「健康を保ちたい」という始めの目的は小さなものに過ぎません。

そうしたものにとらわれることなく楽しみながら日常的に気功を続け、段々最終目標に近づけば、自ずから自然治癒力は高まり健康が保たれ、長生きをする結果となるのです。

そして言うまでもなく、それは簡単に出来るものではありません。何よりも自分の生命場がきちんと整っていなければならないのです。場が歪んでいれば、大自然の場とも繋がりません。従ってまず呼吸法によって場を整えるのです。だから呼吸法の目的は、場を整えることにあると言っていいでしょう。

呼吸法では常に「丹田」を意識します。「丹田」とは下腹部にある割りと広い場所です。分かり易く言えば、おへそと恥骨の上端までのほぼ中央部分と考えればいいでしょう。これは何故かと言うと、人間の生命場が丹田に集約されているからです。息を吐くことによって、私達は自分の情報を虚空に伝えます。そしてその伝えた情報に基づいて提供される虚空の生命場の息吹きを、吸気によって丹田に納めているのです。

←帯津良一博士著書「自然治癒力」から抜粋

帯津先生の「息を吐くことによって、私達は自分の情報を虚空に伝えます。そしてその伝えた情報に基づいて提供される虚空の生命場の息吹きを、吸気によって丹田に納めているのです」というご説明は、座禅をやっている者にはよく分かります。

座禅の呼吸法「数息感」は鼻で静かに息を吐き切り、鼻で静かに息を吸います。これを「ヒト～ッ、フタ～ッ」と十まで数えてまた「ヒト～ッ、フタ～ッ」と何回も繰り返します。両手はヘソ下三寸（丹田）で重ね合わせて印を組みます。

私は「虚空」とは難しいものではなく「自分を取りまく空間」と考えています。あるいは「その場の雰囲気」と考えても良いでしょう。よく「穏やかな雰囲気」とか「緊張した雰囲気」とか言いますが、あの空間です。

夫婦喧嘩ばっかりしていて「殺伐とした雰囲気」の家庭で育つ子供は、病気がちで学校の成績も今一つではないでしょうか？

夫婦仲良くお互いを尊重し合って暮らす「和やかな雰囲気」の家庭で育つ子供は、健康優良児で成績優秀ではないでしょうか。我が家のことで恐縮ですが、スポーツで日本一になったり大学の卒業式で首席に選ばれたりする子供を持つと、夫婦仲良く「楽しい雰囲気」の家庭を作ることがいかに大切かをしみじみと感じます。